過熱と過冷却
物質には固体、液体、気体という状態があるのは有名なことですが、この他に、過熱と過冷却という状態があります。
過熱とは、物質が融点や沸点に達しても、状態変化せず、さらに高温の状態になることをいいます。
たとえば、大気圧下においては、水は100℃で沸騰し、水蒸気になります。しかし、水が100℃に達しても沸騰せず液相の状態を保つことがあります。この状態が過熱です。この状態の水は、同じ温度の空気と比べ、持っている熱量が大きく、熱伝導率も高いという特性があるため、食品の加工や殺菌などによく使われています。また、発電所のタービンを回す力の源としてもよく使われています。
過冷却は、物質が凝固温度に達しても液体から固体にならず、さらに低温の液体の状態になることをいいます。たとえば、水は0℃で固体になり氷になりますが、0℃より温度が低くなっても、氷にならず、液体の状態を保つことがあります。この状態の水を過冷却液といいます。